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オーガニックフードマイスター®講座 in 長良川
2023年12月16日 10:00 ~ 16:00
全国で有機フッ素化合物(PFAS)による水汚染が問題となっています。しかしPFASの汚染は水にとどまりません。食の安全・監視市民委員会では、今年3~4月に国内スーパーマーケットで中国産アサリ10商品と日本産アサリの3商品を購入し、京都大学の原田浩二准教授に有機フッ素化合物(PFAS)の分析を依頼。その分析結果の第一弾として中国産4商品と国産2商品でのPFASの一つであるPFOA(パーフルオロオクタン酸)の結果が分かりました。
今回分析した結果からは、表のように、中国産アサリ4商品からは、日本産のアサリ3商品に比べ約10倍のPFOAが検出されました。
これまでも2022年には米国の食品医薬品庁(FDA)の調査でも中国からの輸入アサリで高いPFOA濃度が検出され、アサリなどの魚介類の監視の注意や、一般消費者への摂取の注意などが示されていました。
海水中のPFOAが、魚介類、特に沿岸部で採取、養殖されるアサリに蓄積されていることが明らかになりました。中国から日本に輸出されるアサリの多くは、中国北部山東省から河北省、天津市、遼寧省に囲まれた渤海、黄海沿岸の浅瀬で養殖されています。渤海に流れ込む河川の上流でのフッ素化学工場を含む工業地帯からの排水が原因だと推定されています。
今回中国産で検出された最大濃度のPFOAの場合(5132ng/kg)、アサリ汁1杯(アサリ48グラム)食べることで、体重15kgの子どもの場合、日本の水道水の暫定目標値のもとになっている耐容1日摂取量(20ng/kg/日)の8割を取ってしまうことになります。日本の暫定目標値の算出根拠は動物実験ですが、ヒトの健康調査ではより低い濃度でも影響が出る恐れが指摘されています。その中で、子どもへの免疫への有害影響を考慮して設定された欧州食品安全機関(EFSA)の耐容1週間摂取量(4.4ng/kg/週)と比較すると、大人でもこの最大濃度の1杯のアサリ汁で1週間分の摂取基準を超えてしまいます。子どもの場合1杯で一月分の量を超えてしまうことになります。
現在日本では、アサリなど魚介類をはじめ、食品のPFASの残留基準は設定されていません。早急に基準設定に向けて検討する必要があります。
(植田 武智)