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2021.01.19 オルター通信1677号
共同声明 ゲノム編集GABAトマトの市場流通に反対する!

厚生労働省は届出受理の根拠を明らかにせよ

2020年12月11日、厚生労働省はゲノム編集で遺伝子を改変したGABAトマトの流通を認める「 届け出」を受理した。アメリカで流通が認可された高オレイン酸大豆(油)に次ぐ、世界で2番目のゲノム編集食品の商品化である。
このGABAトマトの安全性には大きな問題がある。本来なら食品安全委員会における安全審査が必要であるにもかかわらず、届け出だけで商品化を認めることは消費者の健康を守るべき厚生労働省がその義務を放棄し、開発企業の利益を優先したと考えざるを得ない。今回の届け出認可は早急に解除し流通を止めるべきである。

1 GABAトマトの安全性について
このGABAトマトは、筑波大学の江面浩教授らが開発したものである。江面教授はこのトマトの発売元であるサナテックシード社の取締役最高技術責任者でもある。血圧降下作用のあるGABA(γ-アミノ酪酸)はトマトの青い状態の時には高濃度に含まれているが、熟してくるにつれて分解酵素が働き濃度が低下する。江面教授らはゲノム編集酵素CRISPR Cas 9を使ってこの分解酵素の遺伝子を破壊し、熟してもGABA濃度が低下しないように改変した。江面教授らの論文によれば※1、このゲノム編集の際には細菌由来のCas 9遺伝子の他に抗生物質カナマイシン耐性遺伝子とカリフラワーの病原ウイルスであるカリフラワー・モザイク・ウイルスのCaMV遺伝子を同時にトマトの細胞に注入し、細胞の遺伝子の一部に取り込ませている。ゲノム編集が成功した細胞の選別を目的に、100mg/Lという高濃度のカナマイシンを培養液に入れてゲノム編集細胞を増殖させている。したがって、このGABAトマトの遺伝子には当然Cas 9遺伝子とカナマイシン耐性遺伝子、CaMV遺伝子が組み込まれている。これらはいわゆる外来遺伝子であり、本来なら遺伝子組換え作物と同様に食品安全委員会の安全審査を受けなければならない。
ゲノム編集食品に関する法規制では「届け出だけでOK」となるのは外来遺伝子が含まれないものに限る、とされている。しかし江面教授らの論文や、この度、サナテックシード社から厚生労働省に提出された説明書類には「外来遺伝子の削除やその根拠データ」については一切述べられていない。
このままゲノム編集GABAトマトが市場に流通し、消費者が食べるとどうなるか。現在、アメリカをはじめ日本でも抗生物質耐性菌の蔓延による大量の患者の死亡が大きな問題になっている。遺伝子組換え大豆やトウモロコシ、ナタネ等に含まれる抗生物質耐性遺伝子が、体内の腸内細菌に乗り移る「遺伝子の水平伝達」が一因、と指摘されている。ゲノム編集 GABA トマトが一般家庭の食卓に上がれば、この被害はさらに大きくなり、消費者の健康が脅かされることになる。
※1
1Efficient increase of γ-aminobutyric acid(GABA) content
in tomato fruits by targeted mutagenesis: Satoko Nonaka,
Chikako Arai, Mariko Takayama, Chiaki Matsukura and
Hiroshi Ezura. Scientific Reports 7:7057 DOI:10.1038/
s41598-017-06400-γ Published online; 01 August 2017.

2「 届け出認可」の欺瞞
この度 GABA トマトの「届け出」認可にあたっては、厚生労働省薬事・食品衛生審議会による「事前相談」が行われた(2020年12月11日)。この会合は非公開の秘密会合で、どのような議論があったかが全く分からない。この事前相談会に提出された資料に基づき、審議会はゲノム編集GABAトマト について「外来遺伝子が含まれず安全審査は不要」との結論を出した。この事前相談会が事実上の安全審査を行ったのである。しかし前述のように、厚生労働省が公開した企業からの提出資料にはどこにも外来遺伝子に関する記載がなく、もちろん除去したという証拠も示されていない。事前相談会は根拠もなく外来遺伝子が含まれない、と断定したのか。もし資料が提出されたなら公開すべきである。口頭での説明があったかもしれないが非公開であり、第三者がそれを検証することは出来ない。こうした「事前相談会」なる曖昧な会議が、ゲノム編集食品の事実上の安全審査を行うことになるのは極めて危険である。こうした認定制度は早急に廃止し、遺伝子組換え食品同様の安全審査を義務付けるべきである。
ちなみにEU加盟国ではゲノム編集食品も遺伝子組換え食品同様に安全審査と表示を義務付けている。

3 サナテックシード社の販売戦略の問題
事前相談会が届け出OKとの結論を出した同じ日に、サナテックシード社は厚生労働省に届け出を行い厚生労働省は「届け出を受理」した。この同じ日に、同社はホームページ上にゲノム編集GABAトマトの市場流通について広報した。それによると、当面トマト自体を市場には出さず、ゲノム編集GABAトマトの苗を家庭菜園用に自分で栽培して食べることを認めた者だけに無料配布するという。その際、 応募者に対して厳しい審査を行い、同意書を提出させて同社のオンライングループに入会した者だけに苗を送る。当然、ゲノム編集GABAトマトを食べた結果についても、血圧が下がったかどうか等の質問があるはずで、これは事実上の人体実験である。本来、食品の安全性については動物実験や成分分析などの安全性に関する検証が事前に必要であるにもかかわらず、ゲノム編集は突然変異と同じだ、という詭弁がこうした異常な流通システムを生み出した。
我々は消費者に対し、こうした異常な、かつ安全性が証明されていない農産物の流通に関与しないように強く提言する。

2020年12月15日

〈呼びかけ団体〉
遺伝子組換え食品を考える中部の会(連絡先)
〒461-0004 名古屋市東区葵1-14-3 TEL052-937-4817

〈賛同団体〉
遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン
日本消費者連盟
食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク
バイオダイバーシティ・インフォメーション・ボックス

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