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2020.09.22 オルター通信1663号
福島原発事故 除染で生じた汚染土の危険な再利用計画

「草の根だより」No.489 2020年8月 日本消費者連盟関西グループ発行
シリーズ ポスト3.11を考える No75より転載

福島原発の事故処理で溜まり続けている汚染水については、2022年夏頃にタンクの増設余地がなくなって満杯になる、準備に2年はかかるのでこの夏に方針を決める必要があるとされていました。
書面での意見募集は、当初締め切り5月15日が「より丁寧に御意見を伺う観点から」3度延長され、7月末まで伸ばされました。
その間の6月9日に国連の特別報告者4人(有害廃棄物担当ら)は、海洋放出に関するいかなる決定も新型コロナの感染拡大が一段落するまで控えるよう求める声明を発表しています。この声明に日本政府が従って意見募集を延長し、結論を先延ばしにしているのではありません。
私は、当初、東京オリンピック終了後に決める予定であった段取りが狂っているだけと見ています。
東京電力は、意見募集終了直前の7月30日、汚染水の7割でトリチウム以外の核種が基準を超えていることについて、9月以降に、2000トン程度を試験的に処理する計画を明らかにしました。少なくともその結果を踏まえて処理方針を議論すべきだと思います。
全国漁業組合連合会や福島県内15市町議会が放出に反対、6市町村議会が丁寧な意見聴取や風評被害対策を求める決議を行っています。結論が先延ばしにされている間に、更に反対の声を拡げていきたいものです。

■汚染土壌の上で食用作物栽培!
汚染水と並んで問題なのが、汚染土です。除染作業で発生した汚染土は約1,330万m3もあり、福島第一原発周辺に設けられた中間貯蔵施設へ搬入作業が続けられています。「中間」と名前がついているのは、土地取得に当たって「30年以内に福島県外に搬出する」という約束がされたためです。環境省は、県外搬出の処分量を減らそうと汚染土の再利用を進めることに躍起になっています。そのためのパブコメが1月に行われ、この4月から放射性物質汚染対処特措法(以下「特措法」)の施行規則が改正されて施行される予定でした。ところが規則改正は見送られ、パブコメで反対意見が多かったからという希望的観測も飛び交いました。もちろんそんなに甘くはありません。本当の理由は、再利用にあたり農地のかさ上げに利用する場合は花やバイオマス発電の固形燃料などになる作物を栽培する予定でパブコメを行ったものの、食用作物も育てるために実証実験の追加が必要になったからでした。
その実証実験について、大島堅一さんが情報公開請求をしたところ、3月27日付の今年度の「試験栽培の計画(案)」という文書には「12区画のうち9区画で、単年度で収穫できる下記の食用作物、花卉類を予定。 例)トウモロコシ、ミニトマト、キュウリ、大根、リンドウ等」 などと書かれている欄外に 「※覆土をしないケースについても試験栽培を行う。」と書かれていたのです。汚染土の上に汚染されていない土を厚さ50cmで覆うという前提すらなくそうとするなんてどういうつもりなんでしょうか。菅野飯舘村長ですら「初めて聞いた。最初から覆土なしであると言うんであれば私は進めません」とコメントしています。
汚染しているから除染ではぎ取った土壌を圃場に戻して栽培するのであれば、多額の税金を投入した除染の意味は何だったのでしょう。

■法違反を繰り返す東電とグルになる県当局
もともと特措法は事故後に急ごしらえで作られた法律で、問題があると指摘してきました。たとえば普通の廃棄物処分場ですら県知事の許可が必要なのに、福島事故廃棄物の処分場は事業主の環境省がどこの許可も受けずに作れます。放射能が漏れ出しても検査指導、改善命令をする立場の者はいません。
そんな特措法の欠陥がまた一つ明らかになっています。
Jヴィレッジは、東京電力が事故時に前線基地として使用してきましたが、2年前から本来のサッカー練習場としての運用が再開されています。この春には東京オリンピックの聖火リレーのスタート地点になるはずでした。
国際環境NGOグリーンピースが、ホットスポットが存在すると指摘した結果、返還にあたり東京電力が「原状回復工事」を行って除染作業を行ったものの目安とした線量は独自に設定した甘いもの、一部のエリアでは作業自体行われていなかったことが分かりました。そして工事で発生した汚染土約5万4000m3を東電がひそかに土地造成工事で再利用していたことも判明しました。再利用先について東電は「利用先の自治体や地権者の方にご迷惑がかかるため」として公表を拒んでいます。
汚染土の再利用の規則改正前に東電が勝手に再利用していることを追及した超党派議員連盟原発ゼロの会に対し、環境省は「東京電力が実施した原状回復工事で発生した土壌については、放射性物質汚染対処特措法の適用を受けません」と回答しています。特措法は、福島原発敷地内の除染は東電、敷地外の除染特別地域については国に責任を課しており、Jヴィレッジを東電が除染したら対象外になるとの解釈です。そんな馬鹿なとしか言いようがありません。
工事にはのべ41000人の労働者が従事していますが、除染電離則に基づく線量管理が行われていなかったことも判明しています。
この問題の取材を続けている東洋経済の岡田広行記者は、さらに8000べクレル/kgを超える高濃度の廃棄物がひそかにJヴィレッジの敷地内に保管されていることを突き止めています。2万5900ベクレルの廃プラと1万4400ベクレルの汚泥、総量72m3だそうです。
また、東電の内部資料から、Jヴィレッジに高濃度廃棄物が保管されていることを福島県が東電に対し口止めしたうえで、情報公開請求をしたおしどりマコさんの名前を東電に漏洩していたことも明らかになりました。マコさんは公開質問状を提出しましたが、福島県はJヴィレッジを所管するエネルギー課長が職員をヒアリングしただけで「(情報)提供した事実は確認されませんでした」とお手盛りの回答を行っています。福島県政が、被災者の立場に立って進んでいないことを象徴する出来事です。

末田 一秀(はんげんぱつ新聞編集委員)

 

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