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2019.10.22 オルター通信1616号
最新電磁波事情概観12

最新電磁波事情概観12

欧州各国は高周波規制に乗り出している
大久保貞利(月刊誌「世界」2014年5月号掲載「最新電磁波事情概観(下)」より転載)

<12> 危険な日本式リニアモーターカー
2013年9月18日、JR東海はリニア中央新幹線の「環境影響評価準備書」と詳細ルートを公表した。リニアを「次世代鉄道」「夢の高速鉄道」と無批判に礼賛する報道が一部で見受けられるが、リニアモーターカーにはクリアすべき課題が山積みしている。ここでは電磁波問題に絞る。なお、リニアモーターカーの電磁波は低周波(極低周波)領域に属する。
JR東海のリニアは独自の日本方式を採用しており、現在中国・上海で運行しているドイツ方式(トランスラピッド方式)リニアとは異なる。日本方式は「超電導磁石」を車体と軌道ガイドウェイに装着させ、双方の間に大きな磁場を発生させ、これによる吸引・反発力で推進させて走る。超電導磁石の採用によりとてつもなく強力な磁場を作り出すことで、車体を10センチ浮上させることが可能になり、最高時速581kmまで出せるようになった。マイナス269℃になると「超電導現象」が生じ電気抵抗がゼロになるという超電導技術を採用したのが日本方式だ。具体的にはニオブチタン合金という超電導材を使用し、液体ヘリウムでマイナス269℃まで冷却することで超電導状態を作り出す。
一方ドイツ方式は「常電導磁石」を採用する方式で、磁場の反発力も超電導磁石に比べ弱いため、車体は1センチしか浮上せず最高時速も430kmが限度だ。それでも上海リニア周辺住民は電磁波被害反対で立ちあがっている。日本の超電導方式はコストがべらぼうに高く、磁場の発生量も半端でなく強い。なぜ、JR東海がこの方式を採用したかといえば、地震国家の日本で1センチしか浮上しない常電導方式を採用すれば、地震で軌道が歪み車両と軌道が接触する事故発生の可能性がそれだけ高まるためだ。原発もリニアも本来地震国には不向きな技術である。地震による事故の可能性をなるべく低くするかわりに、コストが高く電磁波発生量がとてつもなく大きい方式を採らざるをえなかったのだ。
問題点を整理してみよう
まず、リニアは強力な磁場を意図的に発生させて進行力を産み出すため、必然的に電磁波問題が起こる。ましてや超電導磁石方式の採用なので、さらに事態は悪化する。JR東海の環境影響評価準備書では車体外の沿線の磁場影響のみ記述し、肝心な車体内の磁場発生量や、その影響について書いていない。こんな記述がある。「列車走行(地下を走行する場合を除く)により磁界が発生するため、対象事業実施区域及びその周辺の環境への影響のおそれがあることから、環境影響評価を行った」。ふつうに読めば、「地下を走行する場合」は磁場が発生しないかのような表現だ。あくまで「車体内の磁場発生」にふれたくないから、こういう表現が生まれる。
「準備書・本編」にはないが、「資料編」に4年前(2010年)の「国土交通省第二回中央新幹線小委員会配布資料」として「車内及びホームの磁界測定結果」が掲載されている。それによると、車内の磁場(磁界)は静磁場が最大2mT(mT=ミリテスラ)、変動磁場が0.6mT(床上)。ホームでは静磁場が最大0.6mTとある。2mTは2万ミリガウスで、0.6mTは6000ミリガウス、0.8mTは8000ミリガウスである。これとは別に、2005年に国立環境研究所が山梨実験線で実測した数値がある。それによると、床で6000~4万ミリガウスとなっている。その後の磁場シールド技術をもってしても思うように下がらないので公表しないのであろうが、一番知りたい数値を意図的に出さないJR東海の姿勢は誠意に欠ける(2013年12月11日、JR東海は「12月5日に車内磁界測定を含めた磁界測定を実施した」と発表した。9月18日の「環境影響評価準備書」では車内磁界測定値を一切出さなかったことにいろいろな方面から批判が出たため、急遽測定したものと思われる。それによると、床から高さ0.3mの走行測定値は「車内貫通時」で0.90mT(9000mG)「、車内客室2」で同0.43 mT( 4300mG)、床から高さ1mで停車時測定値は「車内貫通時」で0.81mT(8100mG)、「車内客室2」で0.37mT(3700mG)となっている。ただし、どれも静磁界値である。肝心の変動磁界については「原理的に車上では推進コイルによる変動磁界は、推進力の変化による緩やかな変化以外生じません」と公表を避けている)。
次に、消費電力の問題である。リニアのピーク時の消費電力は一本当たり約3.5万kWである。これは東海道新幹線の約3倍になる。原発が停止中であり日本全体で電力不足が懸念されている時代にリニアは逆行する乗り物である。山田桂臣JR東海社長は9月18日の記者会見で「このまま電力のない状態で(日本が)衰退していくとは思っていない」と原発再稼働に期待を寄せる発言をしている。

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