トップ > オルター通信一覧 > 乾燥しいたけの放射能をどう考えるか

2019.10.22 オルター通信1616号
乾燥しいたけの放射能をどう考えるか

乾燥しいたけの放射能をどう考えるか
文責:オルター代表 西川榮郎

「こと」の発端
オルターの生産者、井上椎茸園の今年8月に採取した生しいたけから2.4Bq/kgのセシウム137が検出されました。3.11以降、井上さんのしいたけを調べてきましたが、ずっと「ND」できていましたので、明らかな異常値でした。
このしいたけは、原木ホダ木を林の中に伏せたものです。通常出荷しているものは、ハウスのものだけでしたので、念のためいつものしいたけを測ったところ「ND」でした。林の中に何か原因があるかと、土をサンプリングしましたが、その伏せた場所だけがとくに異常というわけではありませんでした。異常値のあった原木のロットなどを調べましたが、原因の特定には至りませんでした。
念のため、井上さんの他の山林に伏せていたしいたけを乾燥させた乾燥しいたけを調べたところ、1回目3.3Bq/kg、2回目3.6Bq/kg(乾燥前の生なら0.3 Bq/kg程度)と、1Bq/kgを超えた値を確認しました。

日本中の乾燥しいたけからセシウム137の1Bq/kg超えが確認されていた
この事態を受け、市民の放射能測定室「小さき花」の石森秀彦さんに相談したところ、ことの次第が判明しました。

①3.11の原発事故前から全国の乾燥しいたけからセシウム137は10~20Bq/kgが検出されていた。放射能の由来はチェルノブイリ原発事故のものと思われる。
②3.11以降は、その放射能がむしろ減ってきて2~5Bq/kgになっていた。その理由は、老木の原木を伐採して新芽を出させる「萌芽更新」をした場合、原木の汚染が減るためなどと考えられる。福島の汚染が乗らなかった地域のもの、北海道・九州では乾燥しいたけは2~5Bq/kgで、奈良県井上さんの乾燥しいたけはその範囲のものに入っている。福島の影響を受けたものは何百、何千Bq/kgというしいたけもある。
③山に伏せたしいたけは菌糸が水分を周辺から集めるので、放射能は濃縮される。

ということです。
オルターへ出荷されてきた井上さんのしいたけは、ハウスで地面につかず、空中に浮かして栽培しているので、これまで「ND」でこられたわけです。しかし、規模縮小を考えてホダ木の入荷を少なくしていたため、これまで生では出荷してこなかった山林のものを出荷しようとして2.6Bq/kgを検出したわけです。もちろん、1Bq/kgを超えたしいたけは、オルターへは出荷されず、これまで通り、ハウス内のものだけをオル
ターへ出荷していただいています。

井上さんの乾燥しいたけをどう考えるか
井上さんのハウスの生しいたけが3.11以降ずっと「ND」であったことから、そのしいたけを乾燥したものをあえて、検査しないでよいだろうとオルターでは考えてきました。しかし、今回、井上さんの乾燥しいたけから1Bq/kgを超えたものが見つかりました。生しいたけはハウスのものですが、乾燥しいたけは山林の中に伏せたしいたけから作ります。乾燥させると重量がおよそ1/10になりますので、放射能値は10倍濃縮することになります。すなわち井上さんの山林にあるしいたけは生で0.3Bq/kg程度の汚染があり、乾燥させると3Bq/kg程度にはなるということです。これは福島の放射能
の影響ではなく、チェルノブイリのものですが、放射能には変わりがありません。
乾燥しいたけを生で食べることはありません。通常、水に戻して生のレベルで食べますので、理屈上は「ND」と考えることができます。しかし、しいたけは放射能を濃縮しやすいので、他の食材と比べて子ども・妊婦は改めて注意すべき食材だということになります。

オルターとしての判断
地面にホダ木を置いていない、井上さんのハウスの生しいたけは、これまで通り「ND」で、取り扱うのは何の問題もありません。
問題は乾燥しいたけです。オルターの防衛ライン1Bq/kgを超えています。福島の放射能の影響を受けたものは、何百・何千Bq/kgとある場合がありますが、受けていないものは、数Bq/kgで、北海道・九州のものでは例外なくその程度は検出されています。その中にあって原木栽培など最も安全な栽培をしている井上さんのしいたけも、乾燥させると1Bq/kgを超えるということです。
1Bq/kg超えは取り扱わないというルールを単純に適用すれば、取り扱い「out」ということですが、どうしてもしいたけを食べたい人にとっては、国内で最も安全な井上さんの乾燥しいたけをoutとすることは、それも問題だということになります。
オルターとしては、ことの経緯を明らかにし、子どもや妊婦は「しいたけ」を控えていただいた方がよいということを申し添えた上で、乾燥しいたけの取り扱いを続行することとしました。
乾燥しいたけは「しいたけ昆布」や「豚まん」などに使われています。今後はそれら加工品にしいたけを使う意味があるかをつぶさに検討して「使用する」「使用しない」を決めていきたいと思います。
ご賢察の程よろしくお願いいたします。

休会またはその他の理由により、
現在ご注文機能を停止しております。

注文再開を希望される方は
オルター本部までご一報ください。

お電話から
0721-70-2266
WEBから
info@alter.gr.jp
CLOSE