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2019.02.19 オルター通信1581号
総務省消防庁が東京消防庁にスマートメーター火災隠しを指示

総務省消防庁が東京消防庁にスマートメーター火災隠しを指示
電磁波問題市民研究会
電磁波研会報第116号 2019年1月27日号より転載

スマートメーターから出火した火災事故について、だれでもネットで情報を見られる「事故情報データバンクシステム」へ報告しないよう、総務省消防庁が昨年4月に東京消防庁(都内のほぼ全域を管轄する自治体消防)に指示し、東京消防庁がその指示に従っていた事実を、12月6日付『東京新聞』が1面トップ記事で暴露しました。総務省消防庁は市民の生命と財産を守るという使命よりも、国策を優先したと見られます。東京消防庁は、指示を唯々諾々と受け入れました。ともに恥を知るべきです。

■消費者庁は「報告は必要」
事故情報データバンクシステム(以下、「同システム」と言います)は「関係行政機関が保有する生命・身体に係る消費生活上の事故の情報を一元的に集約したデータベース」で「事故の再発、拡大の防止に資する環境整備の一環として、消費者庁と国民生活センターが連携して、関係行政機関等の協力を得て実施している事業」です(同システムのウェブサイトより)。だれでもインターネット経由で事故情報を自由に閲覧・検索できます。
記事によると、総務省消防庁はスマートメーターについて同システムに掲載することは「誤り」であると東京消防庁に指摘しました。それまで東京消防庁はスマートメーター火災について同システムに報告していましたが、指摘を受けた後に調査が終わった火災については報告をやめたため、掲載されませんでした(この記事を書いている1月22日現在も、掲載されていません)。総務省消防庁は同システムの運用が始まる2010年に消費者庁と報告対象の製品を協議し「メーター類」を報告対象から除外。「送電線などの設備と同様、スマートメーターは電力会社が送配電事業を行うために設置し、所有権も電力会社にある」からだと、総務省消防庁は同紙に「誤り」の理
由を説明しました。
一方で消費者庁の担当課長は同紙の取材に「消費者安全法上、火災は重大な生命・身体被害を発生させるおそれがある事案で、行政機関による報告は必要だ」と述べ、総務省消防庁による「報告不要」との見解を真っ向から否定した形となりました。

■当会による追及がきっかけか
総務省消防庁が東京消防庁に同システムへの報告は誤りだと指摘した昨年4月は、ちょうど当会主催の「スマートメーター強制をやめさせる院内集会」が開かれた月であることを、この東京新聞の記事は言及しています。当会が同システムに掲載された情報からスマートメーター火災が発生していることを知り、総務省消防庁に対して院内集会の場で火災原因を明らかにすることなどを求める書面を提出していました。東京新聞の記事は断定しないまでも、当会のこの要求がきっかけとなって、総務省消防庁が東京消防庁に指示を出した可能性が大きいことをにおわせています。12月6日付東
京新聞は、この1面の記事に関連して、26~27面の見開き記事「こちら特報部」でも詳報し、「(総務省消防庁は)『消費者の所有物ではないから』などと説明するが、(同システムに)載せる必要があるのは、火を見るより明らかだ。スマートメーターの設置という『国策』に付度(そんたく)していないか」と追及しています。
記事には、筆者(網代)のコメントが、以下の通り掲載されました。「火災の報
告を上げないのは、普及に不都合な情報を隠そうとしているように見える」「(ス
マートメーターの)設置は事実上の強制。消費者にはその危険性も知る権利がある。海外のように、消費者が従来のアナログ方式を選ぶ権利も認めるべきだ。消費者の思いをないがしろにして、国の方針に沿って強引に設置を進めようとするから、今回のような事態が起きる」。

■問われる消防当局の不作為
総務省消防庁の言い分は明らかにおかしいですが、同庁があくまでも正当だと主張するなら、同庁が独自にスマートメーター火災の情報を公表して警戒を呼びかけり、または公表するよう電力会社を(必要なら東京消防庁を通して)指導してこなかったことを、どう釈明するのでしょうか。火災を起こしたスマートメーターと同型の不良メーターは当時分かっていただけで東電エリアに24000台設置されていましたが、消費
者は出火するかもしれない不良品が自分の家などに設置されていることを一切知らされていませんでした。同庁が注意喚起を行う必要性は極めて大きかったのに、何もしなかったのです。スマートメーター設置推進という国策のためなら市民が火事にあっても仕方がないという姿勢では「消防庁」の名が泣きます。
総務省消防庁が「誤り」と指摘した同システムヘの情報提供がまったくされていなかったならば、火災発生の事実を私たちが知ることはできず、東京新聞が報道することもなく、今でも東電は火災を隠したままでしょう――それが総務省消防庁にとって望ましい状況なのでしょうか。
注意喚起を怠った点では、東京消防庁も同罪です。

■不良スマメは97,000台に激増
東光東芝メーターシステムズは昨年12月26日、新たな不良品が見つかったとして、交換が必要なスマートメーターが東電エリアで24000台から90000台に、中部電力エリアで1600台から7000台に、それぞれ大幅に増えたと発表しました。
東京新聞は1月10日付「こちら特報部」でもスマートメーター火災を続報。
それによると、東電が不良メーターを全部交換するのに今年12月末までかかります。いつ出火するか分からないものが、今後最長1年間も家などに付いたままになるのです。
話はそれで終わりません。この次に見るように、いつ出火するか分からないという状態は、実はほとんどすべてのスマートメーターについて言えるのです。

スマートメーター施工不良で火災7件どのメーカーでも火災の恐れ 
スマートメーター火災について東京新聞が初めて報道した昨年11月18日の時点では、都内の火災16件は、すべて東光東芝メーターシステムズ(東光東芝)の製品であり、コンデンサー部品の不良が原因でした(同21日付同紙などで報道された中部電力エリア内の火災1件も同社製品)。しかし、東京電力パワーグリッド(東電PG)は12月5日になって、これら16件とは別に「施工不良」による火災が計7件起きていたことを発表したのです。前述の12月6日付東京新聞「こちら特報部」掲載記事でこれら7件
の火災についても取り上げたため、7件の火災を隠してきた東電が、同紙による取材を受けて急遽、方針を変えて発表したものと考えられます。
施工不良が原因で火災が起こるということは、東光東芝製の不良機種に限らず、どのメーカーのどの機種のスマートメーターでも火災が起こる可能性があることを意味します。

■青白い炎が
12月6日付記事によると、7件のうち、11月30日に茨城県つくば市の飲食店で起きた7件目の火災の様子は次の通りでした。午後2時ごろ、店員がアスファルトの舗装工事のような石油っぽいにおいに気付きました。外に出るとスマートメーターから青白い炎が出ていて、メーターのケースは溶けてぼたぼたしたたり落ちていました。店員が店の粉末消火器で消し止めましたが、メーターが設置された木の壁は黒く焦げました。店員は電気は使えないと考えて客に頭を下げて帰ってもらったとのことです。
店員は同紙の取材に「営業補償をもらいたいぐらい。店にいなかったらどうなっていたか」と話しました。

■東光東芝製に限らず出火
施工不良で火災になった7件のスマートメーターのメーカーは、大崎電気が4件、東光東芝が2件、三菱電機が1件でした。
その後も、火災は続きました。次頁の表の通り、この年末年始も既に3件発生しています。1月10日付東京新聞記事によると、これらのうち横浜市磯子区と東京都荒川区のスマートメーターは、ともに東光東芝製ではないので、施工不良が疑われるとのことです。

■背景に作業員の「労働条件」か
施工不良に関連するかもしれないニュースが、1月6日付『しんぶん赤旗電子版』に掲載されました。東京電力のメーター交換(すなわちスマートメーター設置)を行っている作業員が労働組合を結成しました。
記事によると、労働組合「全労連・全国一般労働組合計器工事作業分会」を結成したのは「ワットラインサービス」という会社と請負契約を結んで働いている作業員らです。同社は東電PGが約35%出資する重電会社・東光高岳の100%子会社です。東光高岳の歴代社長は東電出身者が務めています。

■作業件数で収入が決まる
記事によると、交換工事に31年従事するベテランである組合代表は「いいかげんな作業をすれば事故につながるので、ルールは必要です。しかし、会社の罰則は、あまりに厳しい」と訴えています。たとえば、作業終了の確認のために撮影した写真が不鮮明だと判断されるなどで減点されます。大きな減点がつくと2週間などの作業停止になります。作業件数で収入が決まるため、生活が苦しくなります。「これでは、収入を確保しようと、安全上トラブルが起こりやすい雨天でも無理に作業してしまう恐れがある」と組合代表は指摘しています。さらに減点が累積すると、契約打ち切りの恐れがあります。
会社がスマートフォンの「ライン」で一斉送信した作業手順変更を作業員の一人が見落としたことがありました。その時は注意だけで済んだのに、後から会社が一方的に罰則を適用して昨年11月、契約を打ち切ると通告してきました。組合は12月7日、契約打ち切り撤回を求めて会社に団体交渉を申し入れました。会社側は「労働契約を締結している従業員ではない」などとして団交を拒否。組合は12月17日、都労委に不当労働行為を申し立てました。作業員は請負契約ですが会社の指揮監督を受けており、労働組合法上の「労働者」であると組合は主張しています。
組合代表はまた「交換作業者が2週間程度の短期間の研修で現場に送られている」とも指摘しています。スマートメーターへいっせいに交換するため、経験の浅い作業者が増えているというのです。
東電のスマートメーター設置をめぐっては、事前の通知なしに勝手に交換されたり、通知するチラシを入れたその日に交換されたなどの苦情が当会に相次いで寄せられています。こうしたトラブルや施工不良の背景に、作業員が収入のためにスマートメーターの設置件数をとにかく増やそうとしたり、または、経験の浅い作業員によって、作業がずさんになっているという事情があるのかもしれません。もちろん、どのような事情があっても、ずさんな作業は許されませんが、作業員の「労働条件」が改善されて余裕を持って働くことができれば、トラブルもいくらかは減るのかもしれないと筆者は感じました。

■「ネジの締め付け不足・緩みが原因」
昨年12月5日付東電PGの発表文によると、施工不良の中身は「スマートメーターの端子部の締め付けネジの締め付け不足・緩み等に起因した放電により発熱・焼損に至ったものと推定」されるとのことです。
これについて、1月10日付東京新聞記事は「ネジ止めは基本中の基本で、締めが甘いのは考えられない」という男性電気工事士の言葉を紹介しています。この男性は「設置台数が多くて作業員が急いでいると、締めが足りなくなるのではないか」と推測しています。

■急ぎすぎるから事故が起こる
東電は、電気メーターの有効期間満了に合わせて10年かけてアナログメーターをスマートメーターに交換するのではなく、3年前倒して2020年までの7年間で、2900万台ものメーター全部をスマートメーターに交換しようとしています。1月10日付東京新聞記事の中で、消費者問題研究所代表の恒田達哉氏は「単純に、急ぎすぎているから事故が起こる。家は多くの消費者にとって、一生のうちで最も高い買い物であり、日々の生活の基盤ともなる大切な場所。立ち止まって、ちゃんとやれる準備ができてから進めていくべきだ。スマートメーターの設置を早く進めても消費者にとっては得にならない」と述べています。もっともな指摘ですが「得になるかどうか」で言えば、スマートメーター設置による消費者のメリットは「1%ぐらいの省エネマニア」(会報前号参照)などに限られます。スマートメーターを急ぐ必要はまったくないし、そもそもすべての電力消費者に設置する必要もありません。

■スマートメーター設置を止めよ
1月10日付記事によると、施工不良で火災が起きた7台のスマートメーターはすべて別々の作業員が設置しました。東電は7人が施工したスマートメーター約30000台の1割にあたる3000台と、7人以外が設置したスマートメーターのうち5200台以上の、計8200台以上を対象に抜き取り調査をして、施工不良がないか調べているところだそうです。しかし、抜き取り調査の対象にならなかったところで火災が起きない保証はまったくありません。
電力会社はスマートメーターの新設を今すぐにやめるべきです。そして、不良スマートメーターの撤去と、既設スマートメーターの(抜き取り調査ではなく)全数調査に全力を傾けるべきです。もちろん、アナログメーターヘの交換要求にも応じるべきです。       ( 網代)

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