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2019.01.08 オルター通信1575号
ゲノム編集された食品、発売へ

ゲノム編集された食品、発売へ

ゲノム編集された食品が年明け早々にも発売になる見通しです。
安全性などをめぐり大きな議論を呼びそうです。
【食品と暮らしの安全 No. 357 2019.1.1発行より転載】

ゲノム編集とは、全遺伝情報(ゲノム)を構成するDNA配列の特定部分を切断・削除したり並べ替えたりしたりする技術。
次世代の遺伝子組み換え技術とも呼ばれていますが、従来の遺伝子組み換え操作が異なる種(しゅ)の遺伝子を外部から移植するのに対し、ゲノム編集はもともとその個体が持つ遺伝子のみを操作します。
2012年ごろに「クリスパー・キャスナイン」と呼ばれる最新のゲノム編集技術が開発されてからは、低コスト、短期間でゲノム編集ができるようになり、世界各国で研究に拍車が掛かりました。
つい先日、中国の研究者が、人の受精卵をゲノム編集技術で操作し双子を誕生させたと発表して世界に衝撃を与えたのは、記憶に新しいところです。
こうしたなか、AP通信は12月上旬、年明け早々にも、ゲノム編集技術を使って開発された大豆を原料とした加工食品が、アメリカ国内のスーパーの棚に並ぶことになるだろうと報じました。
開発したのは、ミネソタ州のバイオベンチャー「カリクスト」。ゲノム編集で大豆の中の2種類の遺伝子を不活性化させ、油にしたときにトランス脂肪酸が生成されないようにしたということです。
記事は、その加工食品はサラダドレッシングかもしれないし、シリアルを固めて棒状にしたグラノーラバーかもしれないが、いずれにせよ、動脈硬化の原因となるトランス脂肪酸を生成しない大豆油を原料にしているので健康によい、というのが売り文句になると伝えています。

■予期せぬ影響に懸念も
しかし、消費者や専門家からは、遺伝子操作で意図せぬ栄養素や防御システムの変化が起き、それを食べた人の健康にも影響が出る可能性を心配する声も出ています。
ゲノム編集に関し農務省は、その新品種が従来の交配技術を使っても結局は開発されただろうと考えられる場合は特に規制しない方針で、これまでに20種類以上の農産物の開発を許可しました。
動物に関しては厳しい規制が掛かる見通しで、現在、食品医薬品庁が開発の詳細なルールを策定中です。
一方、EUの欧州司法裁判所は、ゲノム編集技術で開発された食品は、従来の遺伝子組み換え食品に対する規制の対象に含めるべきだとの判断を示すなど、遺伝子組み換え食品と同様、各国による規制の違いが今後、問題となりそうです。
日本では厚生労働省が中心となり、人の医療への応用や食品開発に関するルール作りを急いでいますが、ゲノム編集食品に関する世論の関心はいまひとつです。
このままだと、残留農薬や遺伝子組み換え表示などの規制と同様、ゲノム編集食品に関する規制も緩いものになりかねません。猪瀬聖(ジャーナリスト)

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