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環境にやさしく、安全な吉野割箸
カタログ2015年11月3週号
山の自然、山里の暮らしを守っています。
◆吉野杉・桧は箸作りに向いた安全な天然素材
 割箸発祥の地で、国内の割箸生産量第一位を誇る奈良県吉野町にある吉野製箸工業協同組合(事務局員 奥谷 純子さん)は、伝統的地場産業の割箸作りを続けています。約40社の組合員製箸場が、木目が美しい高級な杉製の箸や、量産ができ安価な桧の箸など、各社それぞれの個性的な工夫をこらして、様々な種類、形の製品作りを行っています。
 吉野の杉は製箸にたいへん向いています。密植して日光を制限し、ゆっくりと育てられる杉は、強度に優れ、ふしが少なく、年輪が細かいので、木目がたいへん美しい箸に仕上がります。
 杉や桧には芳香成分フィトンチッドが含まれ、消臭作用、防ダニ作用、殺虫作用、抗カビ・抗菌作用があるので、中国産のように有害な化学薬品を使わず、天然素材のままで製品にでき、安全に使用できます。

◆誤った「NO 割箸運動」
 かつて割箸は、森林資源保護、ゴミ減量を理由にバッシングを受けたことがあります。石川県輪島市が「塗り箸」などの漆器産業の振興を狙って、1999年11月に庁内や市内の民間企業に「NO割箸運動」を呼びかけたのがきっかけでした。その結果、全国にマイ箸運動が拡がり、割箸を「森林破壊」の元凶として悪もの扱いにしました。これに対し、吉野製箸工業協同組合(当時、福西 文雄理事長)が「死活問題」と反発し、輪島市に公開質問状を送ったり、バスで交渉団を送ったりしました。
 間伐ではなく、皆伐をする中国などの割箸生産はともかく、吉野町の割箸生産に使う木材は「割箸生産目的で皆伐された木材」ではなく、「建築用材の端材、残材あるいは森林保護のための間伐材」であるので、森林の保護に役立ち、環境にもやさしいものだという反論をしました。その結果、輪島市は吉野製箸工業協同組合のこの申し入れを受け入れ、2000年7月に「NO割箸運動」をやめることにしました。

◆割箸発祥の地
 吉野町の箸作りの歴史は、南北朝の頃、後醍醐天皇が吉野の皇居におられた時、里人が杉箸を献上したところ、その美しい木目と芳香を喜ばれて、朝夕ご愛用されたので、公卿、僧侶にも使用されるようになり、次第に伝えられて今日に至っているといわれています。
 江戸中期の文政10年(1827年)には吉野を訪問した九州の杉原 宗庵が、吉野杉で作られた酒樽の余った材木から「割箸」を作ったという逸話も残っています。酒樽には腐敗しにくい赤目材が使われますが、丸太の外側の木材は色が白くて腐りやすいので、通常は廃棄されることが多いのですが、杉原 宗庵は、その廃棄される白太と呼ばれる木材(廃材)を使って、二本バラバラの形状の箸を削って作ったのです。

◆端材、間伐材が原料
 現在の吉野町での割箸作りは、建築用の柱材を作る時に出る、外側の断面が半円状の杉や桧の端材を原料に作っています。本来廃材となる資源の有効活用をしているのであって、森林資源の乱伐などをしているわけではありません。また、間伐材を利用することで、間伐しないで放置した森林が荒廃するのを防いでいますので、むしろ環境にもやさしい地場産業です。
 ゴミの減量については、王子製紙が使用済みの割箸を集めてパルプ原料にする取り組みも行われています。

◆吉野割箸の危機
 最盛期、昭和45年(1970年)頃、300社あった吉野地方の製箸産業は、現在約70社と衰退が続いています。
 衰退の最初のきっかけは、安い中国産の割箸の登場でした。中国国内の森林資源の乱伐にもつながっています。最近の中国ではその森林資源の不足を補うために、ロシア(シベリア)から木材を密輸入しているといううわさもあります。中国産の箸には毒性の強い化学薬品である OPPや TPZ、漂白剤が使われていて、その割箸から出た毒で金魚が死んだという話もあります。
 2番目のきっかけは「NO割箸運動」でした。割箸が環境に対する悪ものというイメージが拡がりました。
 3番目のきっかけは、食堂や外食店に拡がっているプラスチック箸の登場です。どんな有害な化学薬品が箸から溶出するか心配です。
 4番目の危機は、箸の原料木材の不足です。国産木材を建築に使用することが、外材に押され衰退し、柱材の生産量が落ち込み、箸材に使用できる柱の端材が減っていることです。
 このままでは、国内の割箸産業が衰退し、日本の古き良き伝統である客人のおもてなしに未使用の新しい割箸「ハレの箸」を提供するという文化がなくなってしまうかもしれません。

◆女性パワーで伝統を守っています
 この製箸産業の危機にあって、何とかその地場産業を守っていこうと心を砕いているのが吉野製箸工業協同組合の事務局  奥谷 純子さんです。国から女性起業家として補助金対象に認められ、箸の選別工場も作りました。奥谷さんのお父さんは箸職人、嫁ぎ先のお母さんは和紙職人をしていたので、地場産業を守ることに何か運命を感じておられます。
 吉野町の製箸産業の担い手は、40〜50歳でだいたい3代目です。ここで踏ん張らないと4代目が厳しくなります。


吉野製箸工業協同組合の 割箸
以下の3社以外の組合員の製箸工程もこれらの製造工程と基本は同じです。

■竹内製箸所(竹内 善博代表)の杉の割箸
<原料>


<製造工程>
@杉の端材を3カ月以上自然乾燥する
A箸の寸法(21cm、24cm)にひく
B原料材の表面を磨く
C原料材の端をおとす
D割箸の大きさに切る
E浸水して柔らかくする
F箸の形状に切る
G乾燥する 
H箸を束ね、箸同士をこすり合わせて磨く
I選別する

■吉野製箸(小林 直樹代表)の桧の割箸
<原料>


<製造工程>
@桧の端材を箸の寸法にひく
A炊いて柔らかくする。
ボイラーの熱源は作業工程から出る廃材を使う
B柔らかいうちにスライスする
Cプレス機で箸の形に
型ぬきする
D箸を乾燥する
E形を整える(先づけ)
F箸を束ねて、こすりあわせて磨く
G選別する

吉野製箸ではアイデア製品「箸トング」を開発しています。

■辰田製作所(辰田 敬美代表)の杉・桧の割箸
<原料>
杉、桧

<製造工程>
●杉箸(角箸)
@端材を箸の寸法に切る
A表面を磨く(プレナーがけ)
Bまさ目にひく
C箸の形に表裏を削る
D先を細く削る
E乾燥
F箸を束ねて、こすり合わせて磨く
G選別する

●桧箸(角箸)
@桧の端材を自然乾燥する
A箸の寸法に切る
B表面を磨く(プレナーがけ)
C板にスライスする
D表裏をかんなで削る
E割箸の形に切る
F先細く削る
G箸同士をこすり合わせて磨く
H選別する

辰田製作所では、杉、桧以外にもヤマザクラ、ブナ、カリンなど、いろいろな原料で多種類の箸作りにチャレンジしています。



―文責 西川榮郎(NPO法人  安全な食べものネットワーク  オルター代表)―