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2017.05.23 オルター通信1492号
種子は誰のものか

種子は誰のものか

種は次の時代に引き継ぐ共有の財産
「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンニュース」2017年4月20日 172号 より転載
日本は今、種子法(「主要農作物種子法」)を廃止し、農民のものであった種子を多国籍企業の特許種子に置き換えようとしています。
「主要農作物種子法」は、米、麦、大豆など主要農作物の品種開発・改良を国や都道府県の公共機関が行い、良質で安価な種子を生産者に供給するという法制度。米、麦、大豆は国民の命に係わる基本食料ですから、公的機関が種子を管理し、優良な種子の生産普及を進めてきました。
今、主要農産物種子法廃止が国会で議論されています。
種子法廃止の一方で農水省が提案しているのは「農業競争力強化法」です。農業所得が伸びない原因とされる農薬や肥料などの生産資材の価格低下に、民間活力の活用を目的とする新法です。その生産資材の1つが種子。種子は命の糧であり、私たちの生存のためにはなくてはならないものです。
その種子を農薬や肥料と並べること自体論外ですが、現在公的機関によって担われている種子事業を民間に開放し、種子生産への企業参入を阻んでいる種子法廃止が農水省の提案の主旨のようです。
では、現在農家が使っている種子が高いかというと、決してそうではありません。種子の生産資材に占める割合は2%台で、決して経営を圧迫していません。なぜなら、公的機関が資金や技術を投入して開発、改良して作り出したものだからです。こうした私たちの共有財産である種子事業を民間に提供すると何が起きるでしょうか。おそらく、世界中の種子を独占しているモンサント社などが参入してくるでしょう。国や都道府県が開発保全してきた育種素材を元に民間企業が改良した新品種には特許が付くでしょうから、農家は特許料が加算された高い種子を買わざるを得なくなります。
アメリカでも、種子の開発は大学や州の農業試験場など公的な機関が担ってきました。大豆では、1980年の時点で、公共品種が7割を占めていましたが、98年までに1割に減少し、現在ではモンサント社やデュポン社などのバイオ企業が8割近くの種子を握り、そのほとんどが遺伝子組み換え種子です。遺伝子組み換え大豆の栽培を拡大するために種子市場を支配し、まさに「種を握るものが農を制し、遺伝子を制する者が食を支配する」というモンサントの目論見が実現しています。
3月27日、種子法廃止に懸念をもつ大勢の人々が衆議院議員会館で開かれた院内集会「日本の種(たね)を守る会」に集まりました。野菜の種はすでに海外の大手の企業に握られてしまっています。しかし、主要農産物の種子は国や自治体が管理し、伝統的な地域の種子を守っています。集会では、種子法廃止阻止と同時に、たとえ法制度が廃止されたとしても、これまで同様各県の財政負担により、安価で良質な種子の開発を進めるよう各県に働きかけよう、米、麦、大豆などの主要農作物の省力的な有機栽培の普及による自給率の向上を求めよう、という声が上がりました。
キャンペーンが進めている大豆畑トラスト運動の生産地では、「タチナガハ」や「エンレイ」といった各県の奨励品種を栽培していますが、地域で受け継がれてきた在来種も育てています。種子は食料主権の根幹にあるものです。多様な種子を
私たちは共有財産として守っていかなければなりません。
「日本の種子(たね)を守る会」は種子法廃止がもたらす影響について問題を共有し、日本の種子を守るための意見交換会を続けていきます。私たちもこの動きを注視していきます。当日の資料の一部を紹介します。
モンサントがオーガニックに参入
遺伝子組み換え(GM)市場を席巻したモンサント社が今、オーガニック市場に参入している。すでに、2005年2月にはアメリカ最大の種子会社セミニス社(全米の種子の40%を販売)を買収し、2008年には、ド・ルイター・シード社(世界的な野菜栽培業者)をも買収した。現在アメリカのレタスの55%、トマトの75%、胡椒の85%はモンサント系企業の支配下にある。こうした野菜は非GMだが、モンサントは種子の遺
伝子を分析し、栄養価や健康上の効き目のある成分を多く含むように交配し品種改良をして、すべてに特許を取得している。アメリカの有機農家はセミニス社の種子を購入しており、結果的にモンサントの特許に巻き込まれている。
こうした背景には、アメリカでのオーガニック市場の急拡大がある。アメリカのオーガニック市場の売り上げは、年間3兆円に達している。一方、アメリカではGM表示制度がなかったのだが、市民の表示制度への要求は根強く、バーモント州で表示制度ができた。GM作物の将来性に限界が見えてきたモンサント社は、非GM市場に参入し、世界の種子を支配する方針に出ていると思われる。(遺伝子組換え食品を考える
中部の会の河田昌東さんの資料より)
アメリカでオーガニック市場が拡大している裏には、種子企業がモンサント社に囲い込まれている背景があるようで、アメリカのオーガニック食品も注意深く見ていかなければならないと感じました。(小野南海子)

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